第18章 CHERISH YOU
「……おのれ鬼め」
コテンパンにやられた
神獣の虚しい呻き声を
背中で受け止めて、
鬼は鼻を鳴らして
歩き去って行く。
「鬼灯さま」
そんな彼の裾を、突然
小さな手が引き止めた。
「……紗英さん」
仄かに緩む鬼の表情。
しかし、深く深く
刻まれた眉間の皺は
取れることがない。
「どうしました?」
少女に目線を合わせる為
しゃがみ込んだ鬼目掛けて、
「白澤さまをいじめないで!」
鋭く正確な目潰しが
飛んで来たのだが──……
「甘い!」
「ぎゃっ」
少女の手はいとも簡単に
叩き落とされ、代わりに
重量級のチョップが落とされた。