第18章 CHERISH YOU
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Past of memories
過ぎ去りし日の“鬼と少女”
「………」
昔々あるところに
非常に苛々した鬼が
おったそうな。
その鬼は整った鉄面皮を
これでもかと顰めて
独り、地獄を闊歩する。
彼はとてつもなく忙しかった。
そりゃあもう、
働き過ぎだと噂される
我が国でもブッちぎりで
忙しかったのだ。
心底疲弊している鬼は
全身から殺気を放ち、
他者と目が合おうものなら
相手を八つ裂きにしかねない
危険な視線を──……
いやメンチを切り仰せる。
この日もひとり、そんな彼に
目を付けられた被害者が
断末魔を上げている所だった。