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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第16章 【ティファニーで夕食を】


シュルリと衣擦れの
音がして、腰紐が
抜き取られていく。

「ほら……どうしたんですか。
嫌なら私を止めてみなさいよ」

耳元で囁かれる
吐息混じりの声。

はだけた着物を割って
ゴツゴツとした男の掌が
私の腹部を滑っていく。

「……っや、ああ」

頭がぼうっとする。

脳裏に浮かぶ白澤様は
だんだん遠くなっていく
あの日の背中。

滲む涙に視界を歪ませて
強く強く目を閉じると、
濡れた瞼にキスが降ってきた。

「私が……貴女を
幸せにしますから」

こぼれ落ちる滴は
私の肌をゆるり伝って
シーツに沁みていく。

少しずつ、少しずつ
広がる涙の痕は
哀しみと喜びの狭間で
困ったように渇いていった。
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