第16章 【ティファニーで夕食を】
「ん……っはあ、」
彼が首を傾ける形で
重ねられたキスは
すぐに深い物へと変わった。
開かされた唇の間に
熱く妖艶な舌が
差し込まれる。
「待っ……鬼灯様、
いけません……!」
改めて触れてみると
すごく硬い胸板を
両手で押し返して、
私は顔を背けた。
上がってしまった呼吸が
着物の合わせ襟を
忙しく上下させている。
「……そんな色っぽい
声で駄目と言われても」
困ったような顔で
眉根を寄せて、鬼灯様は
私を片手間に押さえ付けた。
「余計に興奮しちゃいますよ」
意地悪な瞳
悪戯な声音
こんな鬼灯様、見たことない。
「まあ……本当に
嫌ならやめますけど」