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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第16章 【ティファニーで夕食を】



「好きだ」

一瞬時が止まったのかと
……本気でそう思った。

鬼灯様の声音も
怖い位の敬語も

全然、普段と
違ってたから。

驚きのあまりに
呼吸すら忘れて
身体を硬直させていると、

鬼灯様は少し気まずそうに
視線を逸らしてから
再び私に目を落とす。

「貴女のことが……好きです」

二度目の告白。

いつも通りの声で
ボソッとそう告げた鬼灯様は
目元が仄かに赤くなっていた。

男らしい親指が
私の下唇をそっと押し下げて、
薄く口を開く形にさせられる。

「……っ?」

無意識に荒くなる息。

それを必死で我慢して
彼を見上げると──……

「白澤(あいつ)を忘れる為でいい」

そう言って鬼は
私にキスをした。
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