第16章 【ティファニーで夕食を】
しかも、問題は
それだけじゃない。
なんでも鬼灯様が
人間に化ける為に使った
魔女の薬は副作用で
強い眠気が出るらしいのだが、
「酷く高価なので少量ずつ
飲用するんですけど、その分
効果の持続が短いんですよ」
だそうだ。
要するに──……
「(鬼灯様!角!角!)」
今の今まで薬で
引っ込めていた鬼の角が
生えて来てしまったのだ。
こんな所を現世の人間に
見られたら非常にマズい。
「(お、押せば引っ込むかな……?)」
焦った私は、咄嗟に
生え始めた角を指で
押し返したのだが。しかし。
「……んっ」
「!?」
鬼灯様が予想以上に
セクシーな声を出したせいで
その作戦は失敗に終わった。