第16章 【ティファニーで夕食を】
「……っ!!」
右肩に乗った
重みの正体は
鬼灯様の頭だった。
どうやら彼も寝てしまったらしい。
さっきまで流れていた筈の
恋愛映画は終わっていて、
エンドロールが画面を滑っている。
「ほっ……鬼灯様……!」
暴れ回る心臓を必死で抑えて
私の肩にもたれる
鬼灯様に声を掛けた。
しかし余程深く
眠っているのか、
軽く身体を揺さぶってみても
彼が目を覚ます様子はない。
それどころか──……
「ん……あと5分」
か、可愛い。
ってそうじゃなくて!
私がドギマギと
身を捩れば捩るほど
鬼灯様の重心がズレて
体が密着していく。