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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第15章 出発前夜


鬼灯は心底驚いたといった
顔をして紗英を見つめた。

彼女が自室を訪れてくるのは
何年振りだろうか、などと
感慨深げに考える鬼は言う。

「……どうしました?」

頭の切れる凄腕補佐官は
勿論わざと羽織を忘れて
帰って来たのだけれど、

まさかわざわざ自室まで
届けてくれるとは思わなかった。

込み上げる嬉しさ
予想外の計算違い

しかし、そんな彼の喜びは
この後一瞬にして疑念に変わる。

「これ……有難う御座いました」

紗英の様子が
明らかにおかしい。

声に生気がないし、身体も
衰弱している様に見えるのだ。
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