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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第14章 薄れゆく温もりの中で


「取り敢えず今日は
もう……休みんさい」

休憩室に敷かれた布団の上。

横たわる紗英の額に
冷たいおしぼりを乗せて
檎は微笑んだ。

「……ありがとう」

力無く返す紗英の手を

握ろうとして
でも、出来なくて

「ほいじゃワシは戻ろうかの」

ポン引き狐は人懐こく
鳴いてみせて、ひとり
休憩室を後にするのだった。



「や〜ん白澤様のえっちィ」



檎が姿を消して直ぐの事だ。

女郎部屋を彩る円窓の
向こうから聞こえた
色目気だった遊女の声。

しかも、最悪なことに
一番聞きたくない男の
名前を猫撫で声で呼んでいる。
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