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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第13章 【花街ドランカー】


カラン、コロン
素足に高下駄の粋な女が
花街をひとり闊歩する。

「おい見ろよ」
「えらく美人だな」
「そそるねえ」

道行く男達は次々に
視線を送り、耳打ちしては
彼女の美しさを讃えた。

「どこの子だい?」
「狐御前の新顔だとよ」
「妲己も大儲かりだな」

女は思う。

幾千の男に褒められようが
億万の男に愛されようが、


私が恋するのはあの御人だけ。


カラン、コロン
華やいだ地獄の町に
小気味好い音が響く。

彼女の名前は紗英。

かの有名なぼったくり妓楼
【花割烹狐御前】
期待の新入り遊女である。
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