第13章 【花街ドランカー】
「唉呀(うわあ)!
綺麗になったね」
紗英が遊女見習いを
卒業した数日後のことだ。
彼女の気持ちを知る者は
皆口を揃えて「やめろ」
と言ったが、それでも
やっぱり紗英は
白澤の事が好きだった。
「こんなに美人さんじゃ、もう
他にお客が付いちゃったかな?」
上機嫌で酒を煽る白澤。
彼の下衆い視線が
紗英の全身を
舐め回している。
「私は……白澤様にしか
抱かれとう御座いません」
古風な遊女(あそびめ)言葉を
使いこなす彼女の流し目に
白澤はポッと頬を染めて、
「ずきゅうん」
などと有りがちな
台詞を吐いていた。