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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第13章 【花街ドランカー】


「ちょいと新入りちゃん」

ここは地獄の女郎部屋。

漆塗りの盆を胸に抱えた女は、
ポン引き狐の声に
その小耳を傾けた。

「あの御人はやめときな」

どうして?
女は問う。

プカリと煙管を吹かして
狐は難しそうな顔をした。

「そりゃお前さんが傷付くからさ」

狐の話は尚も続く。

白澤の兄さんはな
女に惚れ込むのも入れ上げるのも
凄まじく早い、そりゃもう速攻だ。

しかし……何が兄さんを
そうさせるのか知らんが

「非常に浮ついとる」

その姿はまるで椀子蕎麦だと、
狐は皮肉っぽく言って笑った。

「次から次へ
来たもの拒まず
かっ喰らう」

悪いことは言わん、
やめておきんさい。

言いながら去っていく化け狐。

檎が残した白煙を、紗英は
いつまでも見つめていた。
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