第11章 少女の記憶「夢」
地獄に帰るまでの間、
私は白澤様と沢山
おしゃべりをした。
彼の膝に抱かれて
可愛いうざきさんに
(薬局の従業員らしい)
囲まれたりして。
「へえ、紗英ちゃんは
7歳なのか。若いなあ」
とても幸せだった。
現世では生まれてから
ずっと病院で過ごして、
死ぬまでそのまま──……
そんな私にとって
白澤様と過ごす時間は
本当に夢のようで。
「白澤さまは何才?」
「僕?僕は一万歳位」
「えー!絶対うそ」
ずっとずっとこんな時間が
続けばいいのに、なんて
「ワタシ嘘付かないアル」
「あははっ可笑しいの」
月並みな願いを
胸に抱いたんだ。