第10章 少女の記憶「白」
「イケメンだ」
「は……?」
「ねえ、イケメンのおじさん。
地獄にドングリって生えてる?」
三途之川の畔で出会った
少女が放った言葉は、
突っ込む箇所が多かった。
正確に言えば多過ぎた。
まず僕は絶対断じて
おじさんでは無いし、
(確かにイケメンだけど)
年齢だけ取って言えば
どちらかというと
超絶おじいさんだし。
ていうか──
「ねえドングリの木が
生えてる場所知らない?」
何だろう
その質問。
不可解にも程があるよ。
どうして地獄で団栗探しなのか
『お兄さん』理解が出来ないよ。