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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第10章 少女の記憶「白」


「えっと……地獄に
団栗は生えてないよ」

「そうなんだ」

少女は悲しそうだった。

顔は微動だにしていなかったけど、
少なくとも僕にはそう見えた。

子供にしては美しい、
(実に将来が楽しみだ)
口元を薄く開いて少女は言う。

「トト◯大王に喜んで
もらおうと思ったのに」

「(ト◯ロ大王……?)」

自分でもどうしてか
分からないけれど、

その俯き加減な幼顔が
なんとなく可愛く思えて──

「じゃあ取りに行こうか」

「え?」

「団栗。僕のお家に来れば
たくさんストックがあるよ」

僕は少女の手を
そっと、握った。

言っておくけど誓って
下心はないんだからね。

「おじさんって、
どんぐり屋さんなの?」

「……不同(違うよ)」




【十ノ章】
少女の記憶「白」___終
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