第10章 少女の記憶「白」
「はあ……本当に
ヒドい目に遭った」
あの後、どうにかして
僕と鬼の取っ組み合いを
やめさせた閻魔大王は、
「次会ったら即殺す」
などと物騒な台詞を吐いている
仏頂面を引きずって姿を消した。
あれが地獄のトップと
No.2だなんて世も末だ。
これから先、地獄に来る度
襲撃を受けるのかと思うと
ウンザリというか
ゲッソリというか。
あ、なんだか胃痛がする。
「(……早く帰ろう)」
新薬の材料を求めて
三途之川を目指す僕は、
自前の胃腸薬を
口に放り込んで
深い溜息をつくのだった。