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【カゲプロ】君と、【裏あり】

第5章 5.「如月」


朝、七時半。

「おはよ、クロハ」
「おはよう、アヤメ」

私たちはなんとなく一緒に寝ている。部屋が余っていないから、というのもあるが、私が彼の体温を感じながら眠りたいというのが一番の理由だ。
相変わらず男性は苦手だが、なぜかクロハなら大丈夫だ。……人間ではないからだろうか。

「着替えてくる」
「ん」

クロハの着替えはクローゼットにクロハ用に新しく買ったプラスチックケースに入れてある。そのため、そこまで取りに行かなければならない。まあ普通に考えて男女が同じ部屋で着替えをするというのもおかしな話なので、そのくらいは問題ないだろう。

「さてと」

私もゆっくり着替えをして、部屋から出る。そしていつも通り食事を作る。その間にクロハはコップを出したり、盛り付ける用の大皿を用意したりしてくれる。

「いただきまーす」
「いただきます」

クロハは割と律儀に「いただきます」を言う。

「ん、これ美味え。何でできてるんだ」
「それ、魚肉ソーセージ切って炒めたやつ」
「うぇへぇ」
「何その辺な声」

魚が嫌いというより魚を食べるということ自体許せない様子。……蛇だから?
そういえば蛇って魚と似たような味がするらしい。
でも魚を食べる蛇もいたような、……やっぱり好みの問題か。

「ごちそうさま」

クロハは自分の使った食器は自分で洗ってくれる。余裕が有る時は私の分も洗って、「お前は勉強しとけ」とか言ってくれる。

「そういや、新学期っていつからなんだ?」

食器を洗いながら、リビングで勉強している私にクロハが訊く。

「んーとね、9月1日からだから……」
「ってことはあと11日後か」
「そうだね」

そういえば意識していなかったが、学校に行くようになったからクロハと日中一緒にいることはなくなる。
聞けばクロハ自身も、私が学校に行く間は「女王」の手伝いをするのだと言う。

「それって残業とかは大丈夫?」
「女王はお優しいからな」

問題ないと言いたいようだ。

「まあ、それならいいんだけどね。」

こうやって、今日も、一日が過ぎる。
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