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【カゲプロ】君と、【裏あり】

第3章 3.×××


……彼に一通り説明をしてもらってから、およそ半日。もうすっかり夜だった。彼が好きに過ごさせて貰う、と言うので、私も夏休みの宿題なんかをやりつつのんびり過ごしていた。

すると、突然電話がかかって来た。
誰からかと思えば、よく夜遊びをしている友人からだった。話を聞けばなんと言うことはない。

「それでね、卒業したら今の彼氏と結婚することになったのー」
「……へー。なんでまた結婚なんて」
「妊娠しちゃったのー」
「……あ、そう……」

あんまりにも自慢げに言うので、軽く引き気味に相槌を打ちながら、何故私に電話をして来たんだ……と、軽く俯く。

5分ほど話をして、向こうがこの後用事あるから、と電話を切り上げる。……確かに、いまや、高校へ行く女子なんてのは少ない。大学を目指すといえば、尚更だ。大抵そこまでに結婚するとか、親が結婚を決めてるだとか、そんな感じで、女は進学をしない。

そう、だから彼女の例も良くある話、なのだ。

「……はあ」

ため息をついて通話画面を閉じると、後ろから彼が話しかけて来た。

「随分物憂げな顔してんな」
「うるさいな、関係ないでしょ……」

何かとこっちにかまってくる。……人に構うことが好きなのか、それともからかうネタを探してるのか、とにかく誰かと話すことが嫌いな私にとって、これはいただけない。

「誰からだったんだよ」
「友達から!妊娠したから中学卒業したら結婚するってさ!」
「……ふーん」

しまった、強くいいすぎたかな。彼の反応を伺うように私は後ろを向いた。

「……?」

背筋が凍った。
ゲス顔って、こういう顔のことを言うんだろうか。ともあれ、彼は……冷や汗が滲み出るような笑顔を私に向けている。

「ね、ねえ、あの、えと」
「なー、彩芽」
「な、何?」

「お前も中学卒業したら結婚するか?」

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