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【カゲプロ】君と、【裏あり】

第2章 2.君は


「──冴月黒刃(さえづきくろは)。女王には、基本的に『クロハ』って呼ばれてるから、お前もそう呼べ」
「……クロハ」

その辺に転がしてあったペンで、これまたその辺にほっぽってあったチラシの裏にさらさら、と漢字で名前を書き、教えてくれた。
真っ黒だから「黒」で、言葉が直接的で鋭いから「刃」なんだろうか。
ともあれ、頭の中にすうっと入ってくる名前だった。どことなく懐かしいような、呼びやすいような。

っていうか。

「蛇とか、女王って、なんのこと?」
「ああそうか、あの連中と違って、説明しなくちゃいけないんだよな」

彼はふと何かを懐かしむように目を細め、それから『女王』と『蛇』についての説明をし始めた。

「メドゥーサってわかるか?」
「ああ、あの、髪が蛇で、目を合わせると石になっちゃうっていう」
「それそれ、俺の言う『女王』がそれなわけ。で、俺は普段は女王の髪の中にいる、女王を助ける『能力』を持った蛇なんだよ」
「あ、もしかして、《冴える蛇》の『冴える』って部分がその『能力』?」
「そー言うこと。わかりが早くて助かる。
で、今回は俺は女王に選ばれてお前の元に来たってわけだよ」
「へー。今回は、俺は、って?」
「俺の他にも、蛇は何匹かいる。全員、目に関する何かの能力を持ってるんだ。例えば《隠す蛇》は宿主や、その周辺にいる人物を他の誰かからは認識できないようにできる。《欺く蛇》は宿主を、宿主が思う姿に変えられる。《盗む蛇》は人の思考を読み取れるようにする、って具合にな。
んで、それぞれそれぞれの能力に対応した願いを持った人間に取り憑くことができるんだよ」
「じゃあ……クロハの、《冴える》って、なんなの?」
「それが、残念なことによくわからん」
「ガッカリな感じのハズレ枠ってこと?」
「ハズレって言うなよ!
正確には、『どこまでできるのか、俺にも女王にも把握できてない』ってだけだからな」
「把握できてない?」
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