第12章 夢
私の演奏に感動して…じゃないよね…。
どんぐりころころが何かスイッチを押したのかな。
童謡って、そういう作用するときあるもんね。
演奏してても少しメランコリーな気分になることがある。
とりあえず、私は真司の隣に座る。
「僕は…」
「うん」
「僕はマザコンなんだろうか…」
「まあ…男の人はみんなマザコン…ってよくいわれるよね」
「会いたい…」
「え…?」
「お母さんに会いたい」
「……」
「僕を…生んでくれた…お母さんに…会いたい…」
「…そっか」
私は気のきいた言葉ひとつ言うことも出来ず、ただ一緒に泣くことしか出来なかった。