第8章 友達
……。
あ、わたし寝てた。
暗がりの中で私は身体を動かす。
真司は…?
ちゃんといる。隣で寝てる。寝てる…のかな?
「寝てるの…? 真司」
そっと声をかけてみる。
「ん…ちょっとだけ」
彼がなんとなく、むにゃむにゃ話す。
「あ、ごめん。起こしちゃった?」
「ううん」
彼は私を引き寄せ、自分の身体の上に乗せて、ぎゅうってしてくれる。
私たち、まだパンツも履いてない裸。
気持ちいい。
彼の胸に頭を下ろす。
彼が私の髪を撫でてくれる。
「今、何時ぐらいかなぁ」
私は彼に尋ねてみる。
「さぁ…何時でもいいんじゃない? 少なくとも、明るくなるまではこのままでいいだろ?」
「うん」
えへ。幸せ。
「結婚したら、いつでもこんなこと出来るんだろうな」
彼がつぶやく。
「そうだよ。いいでしょ? 結婚しようよ」
私は身体を起こして、彼の顔を見る。
「うん。そうだね。結婚しようか」
「…結婚してくれるの?」
「みなみがよければ」
「いいよ! 結婚しよっ」
私は再び彼の身体に乗っかって、ぎゅーってする。
「い、今じゃないよね?」
彼がちょっと焦って言う。
「うん。大人になったら」
「だよね」
ホッとしたみたい。
私、そんなに切羽詰まって見えたのかな?
「とりあえず、もう一回しようか」
「とりあえず…?」
彼の提案に、私は首をかしげる。
「うん。とりあえず」
「うん」
私は彼の唇にキスする。
提案自体はもちろん賛成だから。
…