第4章 黄色い四男の場合「映画」
「つっても、もうここにあるけど」
左ポケットに手を突っ込み、
ゴソゴソと取り出したのは
見覚えのある私のハンコ。
「怖いよ、カズ」
「んふふ、なんか、ね」
なんかね、じゃない。犯罪だ犯罪。
ニヤつく口元を可愛く抑えた彼が
今まで腕の中にいた私をポイっと放り投げ
ソファー から離れた。
私に背を向けて、
ダイニングテーブルのイスに座り
何やら作業を始める。
そんな彼を遠くから見つめて。
「何してんの?」
別に悪いことをしてるとか
そういうことを疑ってるんじゃない。
そうじゃなくて、
ゲーム以外に没頭する彼が珍しいから。
秘密、と言った彼が5分後に
「さっ準備出来たから行きます?」
と私の手を引いて家を出た。