第2章 気になっちゃうんだもん
屋上でしばらくつっ立っていた乃々花は数分してチャイムが鳴り、教室に戻ると自分の席に一直線に向かい、そのまま再び気が抜けたようにぼー、としていた。
乃々花が帰ってきたことに気づいたアルミンは次の授業の用意をすぐにすると、乃々花の席へと足を運ぶ。
「よかった、戻ってきて!もう帰ってこないかもしれないと思ってたからさ」
しかし乃々花の応答はない。
不思議に思ったアルミンは乃々花の顔の目の前で手のひらを揺らした。
「……乃々花〜?」
「……、はっ!?…あ、ぁあ、何アルミン?」
「大丈夫?……心ここに在らずって感じだけど……」
「……えっ?そ、そう……?あはは、屋上の風が気持ちよくてさ、ちょっと上の空だったのかも…」
「…ふーん、屋上でサボってたんだ?あーあ、エレンはちゃんと帰ってきたのに。先生に言っちゃおっかな〜」
「えっ!!それはないよ!やめてよぉ〜、アルミン様っ!なんでもします!!」
「ふふ、嘘だよ。でもさ、エレンとはちゃんと仲直りしたほうがいいよ。エレンも結構落ち込んでるよ?」
突然真剣なトーンで会話を切り替えたアルミンに乃々花の表情が曇る。
そしてぱ、と目をそらすとうつむき加減にこう口を開いた。
「…だって、……あれはあいつが悪いんだもん。」
「…もー、二人とも強情だなあ!ほらっ!立って!」
「…えっ、えっ?ええっ!」
乃々花を無理やり席から立たせたアルミンはそのままエレンの席の方向へと乃々花の背中を押す。