第2章 気になっちゃうんだもん
「…さっきは俺が悪かったよ。だからもうこれでこの喧嘩は終わりでいいだろ」
喧嘩、というワードに少し頭をひねりつつもエレンはそう一言言うと次の授業の用意をし始めた。
それはもうこの会話は終了したのだと宣言するようだった。
しかし、乃々花はこのままでは終われまいと慌てて口を開く。
「…わっ、たしも……ごめん…」
うつむきながら発された言葉は語尾に行くにつれ、だんだんと覇気を失い、不自然に消えた。
たった今の数秒がここの空気を居心地悪くしたのはエレンも、乃々花もわかってしまった。
「…おう、」
そしてその直後に休み時間終了のチャイムが鳴り響き、みな自分の席へと戻っていく。
少しの気まずさを残して乃々花も自分の席へと戻っていった。
そんな雰囲気を醸し出している二人を遠目に冷や汗をかきながらアルミンとミカサはじっと、見つめていた。
アルミンはあちゃー、と額に手を当て、少しばかり罪悪感に浸っていた。