第6章 バイト
「はいはいはいはい!ストップ!ストーーーーーーっプ!」
シェアハウスの末っ子が二人の間に割って入り、すかさず太輔からマイコを引き離す。
「たい兄酔ってるし!近いから!マイコ、これはセクハラで訴えていいんだからね!」
「あぁ、うん、ありがとう健子ちゃん…」
「じゃあね、たい兄!(怒)」
「あははは、じゃあな、気をつけてかえれよー」
さっきまでの色気はなんだったのかと思うくらいに無邪気で屈託のない笑顔で手を振る太輔をみてマイコは複雑な気持ちになまま店を後にした。
大人の世界の恋愛と言うのは、まだ私には分からない。
まだ?いや、きっと一生分からないような気さえする。
からかっているだけとは言え、私の耳元でささやき、誘惑する様に見つめた彼の手や眼差しは、きっと数分前まではあのスイートローズの香りに
くるまれていたに違いない。
華やかな世界に身を置く人だから、きっとそれも仕方の無い事だとは思うのだけど…
ふと、今朝の朝食の時の風景を思い出す。
彼も華やかな世界に身を投じた一人。
願わくば彼にはキレイな真白のままでいて欲しい。
誰にも汚して欲しく、ない。
本日二度目の無声音。同じセリフ。
「ん?マイコいまなんか言った?」
「ううん。なんでもない ー。」
気持ちと共に、衛生的な、タイルノ エキ ニ、オチル。