第4章 お届けもの②
カン!
「おっし、1R終わり!」
「ーはぁ、、、…っはぁ。。。しんどー…ッ!」
マイコの目の前あたりに倒れ込む。
「お、お疲れ、玉ちゃん。汗だくだね…」
声がウワズル。見ていただけなのに何故かこっちまで心臓バクバクなんですけどッ。
「…あれお前、時間大丈夫なんだっけ?バイト行くんだろ?」
高い所からそう言われてハっとなって顔を上げると、ミツ兄と目があった。
その瞬間、ミツ兄の顔はなんだかもの言いたげな表情に変化していった。
ヤバっ!私顔赤いのかも!
「…遅刻すっぞ」
「う、うん…じゃ、私行くね!」
「おう、気をつけろよ。店長によろしくな」
ミツ兄の言葉を背中に受けながら更衣室へ向かう。
フロアを出る時にリングの方をチラリ振り返ると、仰向けのまま玉ちゃんが右手だけで挨拶をくれていた。
フロアから出て行ったマイコを鏡越しに確認したミツ兄はミットを外しながら立ったまま玉を見下ろして言う。
「なぁ、玉」
「はぁ、、ー…なに、ミツ兄…?」
「いっちょ、スパーリングすっか」
マイコは急いで着替えて建物の外に出ると、街はすっかり朱に染まっていた。
少しまえは、まだまだ明るかったのに、段々と日が短くなっていく。
マイコの気持ちを代弁するかのように、夕日に射され長く延びる影は建物から少し歩いても尚、まだまだそこから離れようとしない。