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第一話 シェアハウスの恋人

第4章 お届けもの②


賑やかな駅前のロータリーから少し小道に入った商業ビルのなかに、目的のジムは入っている。
歩きながら見上げると、先ほどまで枯れていた雲が完全に消え、夕べも近い時刻になり、日が斜めに溢れるようにビルを刺している。
最上階のガラス張りのフロアにはランニングマシーンが並べられているのが見える。



エレベーターの扉が開くと、中は一面鏡張りになっていた。
無意識に横並びで乗り込むと、綺麗に並んだ二人の姿が映る。
ふふ、なんだか嬉しい。

最上階に着いて扉が開くと、そこは会員制のジムらしく高級感漂う入口があった。
受付には、色黒のちょっと筋肉質な女性が座っていた。

「あの、北山の忘れ物を届けにきたのですが…」
「北山くん?ちょうど休憩中だから呼んでくるわね」




しばらくすると、プロテインシェイカーを片手に口をモグモグさせたミツ兄が受付の奥から顔を出した。
食事中の齧歯類のそれのように頬袋を膨らませている。
「ほー、わりィは、マイ…っヘ、はまもひっしょかほ(おー。わりィな、マイ…って玉も一緒かよ)」
モグモグしながらこっちに歩いてくる。もう片方の手には何か白い欠片を持っていた。
「なにか問題ですかな、お兄ぃちゃま?」
「べーつにぃ…ぐっ!」
と、マイコの前に立ったミツ兄はいつもより更に自分より高い身長になっているマイコに気付いた。
拗ねたような顔で見上げながら手に持っていた白い欠片を口に運ぶ。ゆで卵だ。

「ひょうはまたふいぶんほまたへかいな(今日はまた随分とデカいな)モグモグ」
そう言うとプロテインでゆで卵を流し込み口を拭いながらマイコの後ろにいる玉森を更に見上げ、にらむ。

「てかミツ兄…ゆでたまごにプロテインって。。。」
「あ?朝と晩は渉が作るヘルシー飯ばっかりだからな。昼くらいは動物性タンパク質摂らんと」
「そういう問題かしら…あ、ハイこれ。」
「あぁ、サンキュな」

目的のお届けものを渡す。
「あ?玉はやって行くんだろ?ついでだし」
「うん、そのつもりー」
「え?ちょっと待って?玉ちゃんここ通ってるの?」
「うん、事務所がお金出してくれることになって、最近通い始めたの」
「…じゃ、最初から玉ちゃんがお届けものすればよかったんじゃ。。。。」
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