第8章 誕生日 11/8ver.《降旗光樹》
降旗side
今日も変わらず監督のキツい練習メニューをこなしクタクタな体。
あとは着替えて帰るだけだ。
男臭い部室で汗ビッショリのTシャツを脱いでいると、隣で着替えていた河原と福田に「なぁなぁ」と話しかけられた。
「フリ、もうすぐ誕生日じゃね?」
「今年は彼女と過ごすんだろー?」
「え?あー…うん、まーな!」
へへっと気恥ずかしさを紛らわすように笑うと、「くそー、リア充羨ましい!」だとか「俺も彼女欲しい」だとか言って福田達に小突かれた。
「は?フリって彼女いんの?」
「火神君、何今更なこと言ってるんですか」
「黒子も知ってたのかよ?!」
「知ってたも何も、降旗君に彼女が出来たのはもう随分前の話ですよ」
黒子の呆れるような視線を食らった火神は「そうなのか?」と俺に顔を向けた。
「WC終わってすぐぐらいかな」
「なっ…!マジかよ……!」
火神は心底驚いているようなオーバーリアクションをとった後、「もしかして…」と何かを思い出すように視線を上へ泳がせた。
「1年のとき屋上で叫んでたやつか?」
「そうそう」
「フリ、お前スゲーな!ほんとに付き合っちまったのかよ」
俺の背中をバシバシと叩きながら、火神は何度も「スゲー」やら「めでてーな!」やら連発している。
そんな火神を黒子が「だから、今更ですよ…」と呆れながら見ていたけど、俺は何だか嬉しかった。