第6章 ズルい男《今吉翔一》
それから1週間に1回、会えば体を重ねるだけの関係がズルズルと続いて今に至る。
私も今吉さんも、お互い決して「好き」とは口に出さない。
「好き」と口に出してしまえばこの関係が崩れるのは勿論、この人の隣に居られなくなると思ったら怖くて言えなかった。
今吉さんが特定の女(ヒト)を作らないのは有名だったし。
(でも……)
そろそろ終わりにしなきゃ、いつまで経ってもこのままだ。
そう思うのは、やっぱり昨日観た映画に影響されてるのかもしれない。
私もあの主人公みたいに自分の気持ちを素直に伝えられたら、もしかしたら……。
そんなことを考えているうちに、隣りの男も目を覚ましたみたいだった。
「ん……、おはよーさん。えらい早いお目覚めやなぁ」
今吉さんは私の頭を優しく撫でる。