第2章 災難《黄瀬涼太》
行為が終わった後、お互いに後処理を済ませると、どこか気まずい空気を漂わせながら眠りについた。
気まずい空気の主な原因は私。
せっかく「一緒に寝よう!」と言ってくれた黄瀬君を丁重に断り、結局別々の布団で眠りについた。
私達の間には相変わらず衝立という壁が1枚。
そう、これぐらいの距離がちょうど良い。
黄瀬君は絶対好きになっちゃいけないタイプの人だ。
きっと好きになっても自分が苦しくなるだけだから。
今までの経験上で分かっていること。
そもそもモデルの彼と大した取り柄も無い私じゃ住む世界が違う。
黄瀬君には良い夢を見させてもらった。
(ありがとう……)
***
朝になって目が覚めると、何故か目の前にある黄瀬君の顔。
「ぇ、……なっ!??」
「やーーっと起きたっスね!」
ニコニコと笑みを浮かべる彼に、起きたばかりの覚醒していない私の頭じゃ状況が把握できない。
とりあえず、何で黄瀬君は私の布団の中にいるんだろう。
「オネーサンの寝顔が可愛くてつい」
「っ…、もう!朝っぱらからからかわないでよ…っ」
「俺はいつでも真面目に本気っスよ?」
その言葉が既に嘘っぽいよと心の中で悪態をつきながら、嬉しく思っている自分がいる。
(お願いだからこれ以上私の心の中に入ってこないで……)
とりあえず着替えたり化粧したり身支度を整えると、私達は荷物を持って受付へ向かいチェックアウトを済ませた。