第9章 誕生日 11/11ver.《宮地清志》
「ずっと……?」
「っ……ずっと好きだったよぉ、バカぁ」
そう言った瞬間、清志は立ち上がって私を抱き締めた。
「ワリー…。俺も鈍感だったわ」
「うん……っ」
「……俺が別れた理由な、聞かれたんだよアイツに。「私と相原さんどっちが好きなの?」って。俺、その答えもソッコーだったわ」
「うん…っ」
「真由美が好きだって」
「っ……清志、それ最低な男だよ」
「だな。けど別に良い。それで今こうなってんだから」
清志は少し体を離して、私に微笑みかける。
私の凄く好きな清志の笑顔。
「私もね、いっつも聞かれてた。「宮地と俺、どっちと一緒に居たいの?」って。それでね、私もいつも清志って答えてた」
「……馬鹿じゃねーの、お前も。そんなんフられんに決まってんだろ」
「うん…、でも良いや。私には清志がいればそれで」
「…………お前のその、いきなりデレる感じなんなの?」
清志は赤くなった顔を隠すように私を抱きしめて、耳元で「すげー好き」と囁いた。
その声が妙に優しくて、私は清志の意外とシッカリしている胸板に顔を埋めて「私も…っ」と言うのが精一杯だった。