第8章 鏡
颯太は刀を抜き、脅す様にゆっくりと距離を詰めていく。
私もまた抵抗しようと最後の三口目に手をかけるが、恐怖からなのかそれ以上は手が言うことを聞かなかった。
もう抗えない。そう思いぎゅっと目を瞑った。
直後、目の前から金属のぶつかり合う鈍い音がした。
永倉「おうおう本当に平助そっくりだな。ま、平助はこんな事しねぇだろうがな。」
目を開けばそこには永倉さんがいた。
山崎「ここは皆さんに任せて君は屯所へ。」
そして背後には山崎さんの姿も。
颯太「過去の人間ごときが、未来の鬼に敵うわけねぇだろ!」
永倉「おいおいお前の相手は俺だぜ?よそ見はいけねぇな。」
大切な人達が傷つけ合っている。
本気で殺そうと刀を交えている。
嫌。止めて。
いや、やめて。
やめて!!!
それでも刀を引けば今度は自分が傷つく。
仲間が傷つく。
だからこの言葉を発することは出来ないけど。
千月「殺さないで。」
新選組のみんなも、颯太も大切だから。