第2章 浅葱色
「血ヲヨコセェ…‼︎‼︎‼︎」
銀髪の男が襲いかかると同時に地面を蹴る。
足を止めるな。息を殺せ。
殺される…!
イヤだ。またあいつに殺されるなんてイヤだ。
これが恐怖。
今まで多くの人を斬ってきた。今回とて同じことをすればいいだけのこと。
でも、あのバケモノを斬ることはとても怖かった。
「行き止まり…」
「ゥヒャャャハァァ‼︎‼︎」
それでも今は死ぬことはできない。
もう逃げられないのなら私は刀を抜こう。
覚悟を決めて銀髪の男が振り下ろした刀を受け止める。
その瞬間の違和感。応戦する為に交えた刀のはずなのに、いとも簡単に敵の腕力を圧倒し、斬ることができていた。
先ほどの男とは違う。
さっきの銀髪の男とは比べものにならないほど弱々しい。
例え死なないとしても心臓を貫けばしばらくは動けないはず。
先ほどもそうだったように。
逃げる時間を稼ぐため、私は男達の心臓を貫いてその場から離れた。