第6章 変若水
千月「山南さん、駄目だ!」
私は止めにかかったが遅かった。
山南さんは既に小瓶の蓋を開けて中身を飲み干していた。
山南「ぐっ…ぅ……はぁ………」
既に体には変化が現れ、髪は白銀に染まり、力が抜けていた左腕は歪な関節の動きを経て完治。
山南さんは赤く染まった瞳で私を見据えていた。
不気味な笑みを浮かべながらゆっくりと私に近づいてくる。
千月「山南さん、私の声、聞こえますよね?」
刀は抜けない。
私のような者を信用し、口止めしていなかったにも関わらず力の事を黙ってくれていた。
そんな人に刃を向ける事など出来ない。
ただ心を無くした山南さんが近づくのを見て後方に下がる事しか出来なかった。
しかしそれにも限界はある。
背中のすぐ後ろには壁があり、これ以上逃げ場はない。
追い詰められたのだ。
山南さんは距離を詰める。
そして両手で私の首を思い切り絞めた。