第5章 信念
井上「どうやらここの会津兵達はただの予備兵らしい。主な兵達は蛤御門の方を守っているそうだ。」
千月「必然的に新選組も予備兵扱いということか。」
永倉「屯所に来た伝令の話じゃ一刻を争う自体じゃねぇのか。」
斎藤「状況が動き次第、すぐに戦場に馳せる。今の俺たちに出来るのはそれだけだ。」
千月「今夜一晩は気が抜けないか…ケホッ…ケホッケホッ…」
何の予兆もなく軽い咳が出る。
しかしそれが私の体を蝕んでいることを確実に証明付ていた。
平助「千月、大丈夫か?まだ風邪治ってないんじゃ…」
原田「そういや、顔も白いな。無理しないで少し寝たらどうだ。」
平助「そうだぞ。きっとしばらく気が抜けないだろうし、休める時に休まないと…」
しかしこの場面で休むのは得策ではない。
そう思う私は断ろうと言葉を並べた。
千月「咳が出るだけで後は問題ない。それに、疲れているのは私だけではないはずだ。私だけがというのも…」
原田「このまま戦が始まってお前がぶっ倒れちまう方が心配だ。つべこべ言わず休んどけ。俺の膝くらいは貸してやる。」
平助「左之さんの側に置いとくのが一番心配だ。」
永倉「ははっ!違ぇねぇや。」
ひと時の休息。
私はご好意をいただき、少しだけ仮眠を取った。
この時は新選組の優しさに触れながら戦いの時を待っていた。