第1章 銀
「急がなくては」
走る。ただ走る。
ここで取り逃がしたら…私も颯太も殺される…!
「見ぃつけた。」
後ろにいたのか。逃げてしまったのではないかと思っていたが良かった。あの騒ぎの間に回り込んでくれたのか。
「桜時の姫さんよぉ、お前を殺せるのをずっと待ってたんだぜ?お前の方からのこのことやってくるとはな。」
「敵に感謝するとは私もまだまだだな。」
刀を抜き、背中に切りかかってきたその刃
私もまた刀を抜き、振り上げ後ろに回して受け止める。
「な、なんだとっ⁉︎ くっ!」
そのまま男の刀を払うようにしながら男と対面する。
体格はそこそこいい方だろう。しかし、腕が悪い。私がこいつに殺されるとは到底思えないのだが。
「私に敗北は許されません。故に殺される訳にはいかないのです。」
グチュ
的確に急所を狙い、男の命はいとも簡単に散った。