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薄桜鬼 群青桜

第1章 銀


その日の夜。聖祭の時間はやってきた。

「本当に1人でいいのか?今日の予知だと千月は…」

「平気。」

日本刀を三口腰に下げて服装は青と紫の袴。
腰まである長い髪は高い位置で結い上げ、青い桜の簪を刺す。

これが聖祭の正式な姿。

「姫様、颯太様ですが、今日の標的では何が起こるかわかりませぬ。護衛として付き添っていただきます。」

「分かった。好きにして。でも、標的は私だけで殺るから。」

颯太、あんたの手は絶対汚させない。

「行ってくる。」


ザッ…ザッ…
いつも騒がしい街も夜になれば静かなものだ。

そんな暗い空間の中、不意に背後から殺気を察知する。

不意打ち狙いということか。
正面からでは勝ち目がないから…ということだろうけど、甘い。バレバレだ。

ただ、そのまま後を追ったらそのまま逃げてしまうだろう。
このまま気付いていないフリをして近づいて来るのを待とう。

しかし、脅威は反対方向から突如訪れた。

「ゥヒャャャハァァ‼︎‼︎」

前方から気味の悪い奇声が聞こえた。

いつの間に…後方と行ってもかなり距離はあったはず。
いや、後方には確実に今回の標的がいる。
ということは別の敵。

「血ヲ…血ヲヨコセェェ…」

銀色の髪。赤く鋭い目。荒い息遣い。
その姿はとても人とは言い難い何かだった。

とにかく今はこいつの始末が先か。
しかし、この騒ぎに乗じて標的に逃げられたら…

心臓の鼓動が強く打ち付ける音がする。
私に失敗は許されない。

取り逃がしたら…

私は…颯太は…

殺される。

「血ヲ…血ヲヨコセェェェェェ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

銀髪の男は容赦無く私に襲いかかる。

迷っている暇はない。急いでこいつを始末しなくては。

ギンッと刀が交わる音がする。

男の刀の重みが何倍にも膨れ上がり、私の刀と交わる。

でも驚いた。私の刀が片手で受け止められるとは…

しかし、人並み外れた身体能力はその腕力のみらしく、私にとって男は隙だらけに見えた。

刀を振り払い、すかさず一突き。

グチュッという音をたてながら銀髪の男は血塗れになって倒れた。
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