第28章 虚偽
「そんなに気になる?」
そんな疑問に答えたのは、先ほど対峙したばかりの張本人だった。
「南雲…薫っ!」
その姿を見るや否や、沖田はすぐ様抜刀すると見事な三日月を描き、南雲に襲いかかる。
しかし彼はそれを軽々と避けると、少し距離をとってこちらを嘲笑った。
「まあ、そうカッカするなって。」
「南雲!久摘葉はどこだ!?」
そんな南雲の皮肉めいた様子を咎める事もなく、声を荒げて問う颯太。
「無事だよ。今はね。まあでも安心しなよ。もう会う事もないだろうし、これ以上彼女には関わらない事を約束してあげるよ。」
「それで、僕が君を逃すとでも?」
ひとしきり嘲笑すると、南雲は急に笑顔をやめた。
光をはね退け闇を取り入れる。残忍な人殺しの目だ。
その目を受けて、沖田は刀に手を添える。
「好きにすればいいよ。でも、この血の匂いに何も感じない何てことないよね?鬼の紛い物の沖田くん?」