第28章 虚偽
「これで全部か」
「…みてえだな。」
敵羅刹の心臓に深く差し込まれた刀を抜きながら藤堂の応答に答える颯太。
襲撃から約四半時、ようやく全ての羅刹を片付けた一向の周りは文字どおり血の海と化し、無残に散った亡骸や灰の中心に佇んでいた。
「…行かねえと。」
藤堂はねっとりとこびりついた血の匂いなどに目もくれず、さっさとその場から離れ、すぐ様久摘葉の行方を追う。
「僕たちも急ごう。どうにも今の平助は放っておけない」
続けて沖田もそう言葉にする。
「でも、今回の南雲さんの目的が久摘葉さんだったなんて…」
「しかもこいつら、俺と藤堂相手には急所を突こうとしなかった。」
亡骸の山に視線を向けながら、颯太は呟いた。
「奴は何を考えてるんだ。どうして久摘葉を…」