第27章 再来
「沖田さん、それに雪村さんも…」
「お久しぶりです、久摘葉さん。ご無事で何よりです。」
「雪村さんも…。お二人はどうしてここに?」
話を聞くと、沖田が大阪城で治療を受けていた際、雪村はずっと付き添っていたのだという。
「松本先生からも許しは貰えたし、戦場に復帰するしかないかなって。僕ももう時間がないからね。さっさと倒しに行かなくちゃならないんだ。
土方さんには会ってきたけど、一発殴って来ただけで、特には何も言われなかったよ。」
「お前…。近藤さんの事か。」
藤堂は焦る事も、声を荒げる事もなく聞き入れた。
あの日の事は彼もよく覚えている。
久摘葉達が追っている山南の姿を最後に見たのもそこだ。
「久摘葉さんも知っているかと思います。南雲薫さんの事。あの人に会いに行くんです。」
「やたらと僕たちに絡んできてね。綱道さんも関わっているみたいで、羅刹を使って何度か襲ってきたよ。」
「父様にも、南雲さん…いえ、兄にも、もうこんな事はやめて欲しいんです。」
2人もまた、羅刹に深く関わる敵を追っていた。
雪村にとっては家族と敵対する事になるのだから辛いものもあるのだろう。
俯きがちに質問に答えながらも、なんとか笑って、久摘葉たちに余計な心配をかけまいとする姿があった。
「総司はこれからどこに向かうつもりなんだ?土方さんから指示でも受けたのか?」
「藤堂、沖田、構えろ。」
それは…と雪村が答えようするのを制するように、話を静かに聞いていた颯太が口を開いた。
「沖田と千鶴は僕たちの故郷に来るんだよ。」
そして木々の隙間から1人の鬼が久摘葉たちの前に姿を見せた。
「今死んじゃうかもしれないけどね。せっかく再会したお仲間と一緒にさ!」