第27章 再来
「お前は、もう大丈夫…なんだな。色々忘れちまって、でもそれで良いんだって思ってたのにやっぱり心配でさ。」
颯太が零す。
「久摘葉、お前は絶対に八瀬姫の思い通りにはならない。させない。ここで自由を掴みとれば良い。全てを忘れたままで…とは辛いだろうし言わねえけど。
でも、これはお前が千月と離れられるキッカケだったんだ。だからきっと悪い事だけじゃねえ。」
守って、守られての関係だった颯太と久摘葉。
その存在はお互いに大きかった。初めてこちらへ来た時から、それは周りからも察してしまう程に。
「おい藤堂、そういう事だから、久摘葉に何かあったらただじゃおかねえからな。今度こそ殺してやる。」
「当たり前だろ。久摘葉を守る為にここにいるんだし。」
そんな2人の気持ちにただただ「ありがとう」と零す久摘葉。ほんのひと時のぬくもりを大切に握りしめた。
「ふぅん。平助も相当久摘葉ちゃんに入れ込んでるよね。」
「絶対に守ってやるんだ。だから…」
「だから…?」
「だから、その…。もっと頼ってくれてもいいんだからな…って、総司!?」
そう。いつの間に現れたのやら、そこには大阪城に輸送されて以来音信不通だった仲間の姿があったのだ。