第27章 再来
「揃ってるな。用件だけ伝える。」
そして土方より、山南の居場所と任務を聞く。
渡された書状にははっきりと山南の名前、そして仙台城で構えている事がわかる。
「久摘葉、もう何度も聞いているとは思うが。お前が行こうとしている場所は戦場だ。山南さんの拠点ともなると、羅刹の宝庫だろうな。現状、血を直視することもままならないお前が生半可な心持ちで行っていい場所じゃねえ。それでも行くのか。」
強く、丁寧に紡がれた言葉を、久摘葉はじっくり噛みしめた。
そうだ。自分がこれから行くのは戦さ場で、戦えない者が足を踏み入れた所で無駄死にするだけ。
それは久摘葉も重々承知の上だ。
しかしそれは表面上の話で、土方が聞いているのもまた別の事。
覚悟を。
「終わらせなければいけません。」
覚悟を決める事。
「狂気に殺された人達を、私は知っています。
それは土方さんが、颯太君が、そして平助君が見てきたものより少ないでしょうけど。それでも私は知っているんです。」
傍観者で終わらない事。
「誰かに助けてもらう事でしか生きられなかった私です。でも、それでも、この負の連鎖を終わらせたいと思う気持ちはみんなと同じなんです。」
弱い自分に終止符を打つ事。
「平助君も、颯太君も死なせません。無理をして死なせる事は絶対にありません。
守る事は出来なくても、救う事は出来ます。だから行きます。」
思いの強さは、あくまで意思の中で完結するもの。力のない者が心の強さを放った所で、揺らぐ者はごく僅か。
それでも、久摘葉は自分に無理難題を押し付けているわけではない。
自分に出来る事を。それが、久摘葉の答え。____________