第26章 連鎖
「クソッ…。」
土方がやっとの思いで会津へと合流し、無念の言葉を幾度となく漏らす。
近藤は結局救えず、最期は斬首に処されたそうだ。
「切腹を許されなかった。斬首だと分かった後も近藤さんはみっともなく暴れたりしなかった。納得したんだと。」
四月二十五日。新選組局長近藤勇。斬首の刑に処された。
「元は百姓の生まれのくせして武士の真似事してんじゃねえって、奴らはそう言いやがった。
死を前にして潔く。なんざ、誰にだって出来ることじゃねえだろ。
誰がなんと言おうと、あの人は本物の武士だった。最期の一瞬までな。」
結局救えなかった近藤。新政府への怒りと悲しみ。両方の感情をこれ以上はないというほどに詰め合わせた言葉を押し出していく。
「副長、白河城を奪還せよとの命を頂戴したのですが。」
重々しい空気を外部から破られ、話は次の動きの事について無理やり変わった。
ただ、その命令に関して、土方の答えは大人しく従う事ではなかった。
「一度敵の手に落ちたんだ。会津一藩じゃどうにもならねえよ。だったら他の藩と連繋した方が賢明だ。北に向かう。」
その土方の答えに次いで口を開いたのは、誰も予想すらしていなかった人物。
今までもずっと静かに任務を遂行してきた、正しく信頼に値する者からの意外すぎる言葉だった。
「でしたら、俺は会津に残ります。」