第26章 連鎖
今なら颯太の提案の意味も分かる。孤立していれば逃げ遅れる可能性があるという事。
騒然とする中で残った隊士が集められる。
しかしその中に藤堂の姿は見当たらなかった。
この状況で自然と辿り着いた答えは内通者の疑いであった。先日の山南の一件もあり、藤堂も関与していたのではないか、と。
それでも久摘葉はそれを信じなかった。信じたくなかった。
「私、平助君を探してきます!」
「おい待て!」
土方の制止が耳に届く事もなく、考え無しに部屋から飛び出していく久摘葉。
「非常事態だってのに勝手な事してくれるもんだ。颯太!久摘葉取っ捕まえて先に裏口から逃げろ。」
「…わかった。」
おそらく颯太はこの後の事を知った上での承諾だったのだろう。
迷いも戸惑いも一切見せずに久摘葉の元へと急いだ。