• テキストサイズ

薄桜鬼 群青桜

第25章 変動


それは近藤が屯所に帰って来た時の事。

側から見れば、単純に彼を慕って輪を作っているようにしか見えないものの、実際は違った。

久しぶりに顔を見せた事で周りの反応は様々だった。
喜ぶ者、普段通り軽く挨拶する者、そして、表情を歪める者。

それらの心情と共に、近藤の周りには次第に隊士が集まって来た。

そして間もなくして輪は崩れた。

「近藤さん。」

幹部隊士の一人、永倉が、力のこもった声色で声をかける。
その一言だけで、周りはざわついた。

誰もがその事の全貌を察したかの様に、ここの空気は一瞬にして冷えた。

「折り入って話してぇ事があるんだが、いいか。」

疑問系で口を閉じたものの、それは拒否を許さないような、そんな様子であった。

近藤は何も言わず、目線で返事をすると、静かに永倉の後をついていった。

その一部始終を見ていた原田が「限界が来たか」と呟いたことは、誰も知らない。

久摘葉の知らないところでまた歪みが生じた瞬間だった。
/ 322ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp