第25章 変動
時は遠征部隊帰還後に遡る。
久摘葉は、他の人目など一切気にかけることなく土方の元へ。
部屋に入った後、久摘葉を心配した藤堂は昼間ながらも付き添った。
叱りの言葉など全く耳に入れることなく、山南の事を報告していく。
山南の事、千姫の事、そして久摘葉が狙われている事も全て。
その時の久摘葉は事の深刻さに心を刺され、身体が正常に機能してはいないような、危うい存在であった事に間違いない。
聞いている方からすれば、内容が入って来ない滅茶苦茶に並んだ単語の数々。
藤堂が補足説明をすれば、やはりとばかりに頭を抱える土方。
そして出た結論は、出口が見えない様な、曖昧な策。いや、策というほどのものでもなく、仮として指示された物に過ぎなかった。
「放って置くわけにはいかねえ。これは新選組がもたらした汚点だ。俺たちが片付けなきゃならん。ただ、行方が分からない相手を一から情報集めて探すとしたら時間がかかる。なんせ今は全面戦争の真っ最中なんだしな。むしろ乱戦状態の中、他の戦に巻き込まれて難航するだろう。追うのは、正確な足取りが掴めてからだ。」
その結論が正しいのか、果たして上手くいくのか、それは誰にもわからない。
ただ一つ。今は何も出来ないという事実だけが、はっきりと残された。