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薄桜鬼 群青桜

第24章 消失


遂に逃げ場を失い、立ち止まる二人。

「羅刹…?こんなに沢山!どうして!」

そこには視認出来るだけでも二十はいただろう。
その全ての羅刹が刀を構えており、その刃先は藤堂に向けられていた。

「こいつら新選組の羅刹だよな。狂った様にも見えねえし、どういう事だ?」

ただ一つ、確実に言える事。それは、この場では全て敵だということ。斬らねばならない相手だという事だ。

一歩一歩距離を詰める羅刹兵達。藤堂は久摘葉を背に庇いながら抜刀すると、遂に静かな町の空気に金属音が響いた。

多勢に無勢。数が数なだけあり、防戦一方となってしまう藤堂。更には久摘葉を庇いながらの戦いだった。思うように力を出せず、既に刀傷が所々に刻まれていた。

そして遂に、倒しそびれた羅刹兵の一人が久摘葉の背後に迫る。

「やっ…!離して!ぅぐ…ぅ…」

その羅刹は、久摘葉を拘束すると刀の柄で腹部に一突きし、意識を奪った。

「久摘葉!…クソッ!」

藤堂は羅刹化し、敵を斬り伏せていく。
その勢いは先ほどにも増して凄まじいものであった。

しかし久摘葉までその手は届かなかった。

久摘葉を抱えた羅刹は、他の羅刹に紛れ、藤堂の視界から瞬く間と消えていった。
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