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薄桜鬼 群青桜

第24章 消失


土方の命令に従って、隊務に励む久摘葉と藤堂。土方が事前に準備を進めていたこともあり、調達に支障が出ることもなかった。

それでも心配が何一つ消える事などなく、警戒を常に持つことが日常だった。

「悪いな久摘葉。お前にも手伝ってもらっちまって。」

「ううん。こうやって手伝わせてもらえるの、凄く嬉しい。私、ずっと守られてばかりだったから、少しでも力になれるならいくらでも手伝うよ。」

例えこの指示も久摘葉を危機から遠ざけるものだとしても、久摘葉は少しでも力になれていることに安堵していた。

勿論、本当の意味での安堵など何処にも無いのだが、今はその気持ちを支えにさらなる不安を取り除くべく、警戒心を持ちながら、藤堂と共に屯所までの帰り道を歩いていた。

その心配は唐突に訪れた。

「久摘葉、逃げるぞ。」

突然藤堂に手を取られ、屯所までの道を急ぐ。

「ど、どうしたの?」

しかしその質問に藤堂は答えなかった…と言うより、聞こえていなかったのだろう。それだけ切羽詰まった状況だと理解させる態度であった。

久摘葉も、この状況を理解しようと周囲の気配に耳を傾ける。

聞こえてきたのは足音。それも大勢の足音だった。
不規則に地面から伝わる足音が敵だと認識する事にそう時間はかからなかった。

しかし、逃走も虚しく、挟み撃ちにする様に前方からも敵の影が押し寄せる。
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