第24章 消失
江戸に到着すると、一向は品川にある旗本専用の宿『釜屋』に身を寄せることとなった。
江戸に来て以来、隊士達の士気は以前と比べると然程感じられずにいた。
大阪城で療養していた近藤は良好とまではいかないものの、何とか復帰し、土方と共に薩長の再戦の機会を得ようと、連日幕府に直談判しに屯所を留守にすることが増えた。
原田は、将軍が部下を置いて逃げた事に苛立つ永倉を宥めながらも悩み、沖田は江戸に入ってからも新選組とは離れ、松本先生の隠れ家で療養を続けていた。
他の隊士達も逆賊となった焦りから、以前の様な活気は過去の栄光と共に消えていた。
何より久摘葉が気掛かりだったのは羅刹隊だった。
藤堂と颯太のいる羅刹隊は人目に付かないようにと屯所に押し込められていた。
反発するのではないかという心配をよそに、あっさりと承諾する山南が少し怖く感じた。
久摘葉は無力な自分が守られるだけの存在に成り果てている事が、新選組にとってお荷物なのではないかと心配だったが、これ以上の迷惑をかけないようにすべく、部屋で一人大人しく過ごしていた。