第18章 懇願
私がどうしてこんなにも必死なのかと聞かれたら、それはもう二度と大切なものを失いたくないから。
どうして守ることに執着するのかと聞かれたら、自分で大切なものを壊した過去を持つから。
どうしてその大切なものの中に平助が存在するのかと聞かれたら、それはわからない。
わからないけど、守らなくては。
本能的に、いつの間にか体がその方向へ向かっているんだ。
わからないだなんておかしいだろうか。
最初は颯太と似ていたからという単純な理由で反射的に。
二度目は共倒れになる事を防ぐ為。
その時はまだここが過去だと信じていた頃だ。
歴史を変えてまで助けたいと、どうして思ったのだろう。
過去の私に問いかけようとも、答えてくれるはずがない。
___「心に決めた相手がいるのかしら。」
私にとって恋愛対象となり得る人。
真っ先に思い浮かんだ平助の姿。
もしかしたらそれは颯太で、姿が似ているから平助だと勘違いしたのかもしれない。
いや、勘違いではない。私が無意識に思い浮かべたのは平助で間違いない。
ならやっぱり私は
そうだ。どうして今まで気付かなかったのだろうか。
こんなに必死になる相手に、どうして気付けなかった?
私はこんなに平助の事を愛しいと思っていたのに____________________